動画配信のDRM(デジタル著作権管理)とは何?必要性や導入方法を詳しく解説
リモートワークの需要の増加に伴って、動画配信を導入する機会も増えてきました。その中で、動画コンテンツを保護するためにDRMの導入を検討している企業も少なくありません。
しかし、DRMについて詳しく知らない方にとっては、その必要性も認識していないのではないでしょうか。
今回は、動画配信のDRMについて、必要性や導入方法について解説します。
導入を検討している企業担当の方は、ぜひ参考にしてください。
DRM(デジタル著作権管理)とは?
DRM(デジタル著作権管理)とは「Digital Rights Management」の頭文字を取ったもので、デジタルコンテンツを保護して不正利用を防ぐために用いられます。
DRMを用いれば具体的に以下のような制限が可能です。
・デジタルコンテンツの違法コピーを防げる
・再生回数に制限を設けられる
・決められた期間内でのみ視聴可能にする
・特定のハードウェアのみ視聴可能にする
デジタルコンテンツにDRMを導入すると、データが暗号化された状態で、販売・配布されます。データは公開鍵暗号方式で保護することができ、コンテンツ毎にアクセス制御が可能となります。
キー(秘密鍵)がないとアクセス制御されているコンテンツは視聴することができず、キーも取得は困難なため、万が一キーが流用されても被害範囲は当該コンテンツのみとなるため安心です。
ただし、認証方式がブラウザごとに異なり、DRM認証の運用費用がかかります。
運用費用をDRMに比べ安価に抑えたい場合は、例えば HLS AES-128方式を使用した暗号化方式があります。しかし、この方式の場合第三者からの不正アクセスには堅牢ですが、視聴者側で解析ツールを利用してキーを取得することは技術的に不可能ではありません。
そのため、BtoCなど不特定多数の視聴者に向けた動画配信を行うケースでは非常に強力な保護が可能なDRMがおすすめです。
DRMがお勧めのケース
・ダウンロード型のコンテンツを配信する場合
・不特定多数(数万名規模)の利用者がいる場合
・利用者との間で秘密保持契約の実効性が担保できない場合
・他者が著作権などの権利を持つコンテンツを配信する場合
DRM(デジタル著作権管理)の代表的な手法について
デジタル署名
コンテンツに署名をすることで、改ざんや偽造を防止する方法です。DRMにおいては、署名によってコンテンツの正当性を保証することができます。
ライセンス管理
コンテンツの使用を許可するライセンスの発行や管理を行う方法です。DRMにおいては、ライセンスによってコンテンツの使用権限を制御することができます。
デバイス認証
コンテンツの再生デバイスを認証することで、不正なコピーを防止する方法です。DRMにおいては、デバイス認証によって、コンテンツの再生機器が正当なものであることを確認し、コンテンツの不正な利用を防止することができます。
デジタルロック
コンテンツの利用条件を設定し、それをコンテンツにロックすることで、不正な利用を防止する方法です。DRMにおいては、デジタルロックによって、コンテンツの使用期限や再生回数を制御することができます。
動画配信システムには必須?DRMの必要性について
社内の研修動画やeラーニングなどの動画には、コンテンツ保護の観点からDRMの導入が必要だと感じる方も多いでしょう。
映画や音楽などの著作権が絡むコンテンツや、機密事項など、絶対に流出したくないものをデジタルコンテンツにするのであれば、DRMの導入が必要です。しかし、DRM以外にもコンテンツを保護できる方法はあるため、場合によっては必要ではないこともあります。また、DRMはセキュリティ機能が高い一方で、相応のコストも発生します。
そのため、重要性や機密性の高いコンテンツでなければ、DRM以外のコストを抑えたセキュリティ対策を検討しても良いでしょう。そして、DRMの導入やセキュリティ強化の検討の際は、まず自社に必要なセキュリティレベルを確認しましょう。
どのくらいの機密性を持ったコンテンツなのかを明確にすることで、保護レベルも見えてくるはずです。
他のセキュリティで十分問題がなければ、無理にDRMを導入する必要もありません。自社に必要なコンテンツ保護レベルを理解して、最適な防止方法を検討してください。
DRM以外のデジタルコンテンツ保護方法
先ほど、DRM以外にもデジタルコンテンツを保護できるセキュリティがあると説明しました。
では、具体的にどのような方法があるのか、セキュリティレベルが低い順に解説しますので、参考にしてください。
IP制限
IP制限は特定のIPアドレスからのみ、動画を視聴できるようにする方法です。
例えば、社内や部署内で使用するIPアドレスのみ許可すれば、他部署や第三者からのアクセスを制限できます。
もちろん動画のコピーもできませんので、情報漏洩リスクはある程度抑えることが可能です。
また、設定もサーバーから行うだけで、他のセキュリティよりも簡単にできます。
機密情報を多く扱う研修動画には、このIP制限を設定しておくだけで問題ないでしょう。
リファラー・ドメイン認証
多くの配信プラットフォームで導入されているセキュリティがリファラー認証・ドメイン認証です。
リファラー認証・ドメイン認証は、動画を再生するプレイヤーが特定のドメイン環境下でなければ視聴ができない仕組みになっています。
リファラー認証・ドメイン認証されてある動画を視聴する場合は、必ずログインしなくてはいけません。そのため、自社で配信した動画が、他のプラットフォームで拡散されてしまうのを防ぐことができます。
セッションチェック
セッションチェックは、システム上で動画視聴可能ユーザーを認識し、動画コンテンツを転送します。
・ログインができるユーザー
・コンテンツを購入したユーザー
といった制限をかけて、流出を防ぐことが可能です。
暗号化配信
DRMに似た技術ですが、暗号化配信も多くの動画配信システムで使用可能です。
動画自体を暗号化し、復号キーをもって復号化しなければ動画の視聴はできません。イメージ的にはオートロックのドアがわかりやすいでしょう。施錠されたドアを開けるためには解錠するための番号を入力しなくてはいけません。このドアに当たるのが暗号化されたコンテンツ、解錠の番号が復号キーです。そのため、暗号化された動画だけ持ち出されても復号キーが必要なので、セキュリティの方法として、暗号化配信なら単体でも十分に高セキュアといえます。
ウォーターマーク
デジタルコンテンツの中に透かし文字で視聴ユーザーIDや視聴日時を表示する機能です。動画が流出した際の流出元を特定することが可能なため、情報漏えいを抑止する効果があります。
エンコーディング方式の変更
デジタルコンテンツをエンコードする方法を変更することで、不正なコピーを防止する方法です。例えば、エンコードしたコンテンツを再エンコードすることは困難であり、不正なコピーができなくなります。
フィンガープリント
コンテンツを一意に識別するための技術です。コンテンツの一部分を抜き出して、その情報を元にコンテンツを特定することができます。この技術を利用することで、不正なコピーを追跡することができます。
アクセス制御
デジタルコンテンツを利用するためには、特定のアクセス権を持っている必要があります。アクセス権がないユーザーには、コンテンツを利用することができません。アクセス権の管理は、ログイン認証やアクセス制限などを行うことができます。
DRMの導入は動画配信システム業者に相談
コンテンツによっては、今回紹介したセキュリティの方法では情報が流出してしまうことが不安な場合もあります。
その場合は、やはりDRMの導入を検討すべきでしょう。動画配信システムを提供している業者の中には、DRMが利用可能なところも多いです。
DRMを利用したい場合、検討している動画配信システム業者でDRMが利用できるかどうか問い合わせるのがいいでしょう。もし、すでに配信システムを利用している場合も、動画配信システム業者に問い合わせるのが一番です。
利用している配信システムがDRMを提供していれば、乗り換えをする手間が省けます。
クラストリームでは最適なセキュリティを提案
クラストリームでは、最高水準のセキュリティを提供しております。
今回紹介したIP制限・リファラー・ドメイン制限・暗号化配信のいずれも提供可能です。
さらに、オンプレミス版ならDRMの機能も使え、セキュリティ面でも安心して利用することができます。ただし、DRMは導入にコストが掛かるため、不特定多数の人に配信したいコンテンツを保護する場合など、用途が限られます。通常は暗号化配信で要件が十分に満たされる場合はほとんどのため、用途に合った最適な暗号化方式をおすすめします。
もし、セキュリティに関してご不安な点、ご不明点があれば、専門のスタッフが丁寧に対応いたします。
「社内には◯◯のような動画を配信したいんだけど、どのセキュリティがいいのかわからない・・・」
上記のような内容など、当社で最適なセキュリティを提案可能ですのでお気軽にお申し付けください。
まとめ
今回は、動画配信のDRMについて、必要性や導入方法を解説しました。
DRMでなくとも、動画配信のセキュリティ方法はいくつか存在します。コスト面もよく考慮した上で、自社の動画・コンテンツに最適なセキュリティを利用していきましょう。
もし、当社クラストリームにご興味があれば、無料体験デモ・資料請求も承っておりますので、お気軽にご利用ください。